屋久島の世界自然遺産登録からおよそ20年。今年7月、鹿児島に新たな世界遺産が誕生しました!今度は世界文化遺産です!!
「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼・造船・石炭産業」は2013年にユネスコへの世界文化遺産の推薦案件として決定し、さらに翌2014年に推薦書の正式版が提出されました。そして今年2015年7月、世界文化遺産として認定されました!
全部で23資産あり、全国に散らばっていますが全てひっくるめて今回の世界文化遺産です。
さて、その23資産のうち3つの資産が鹿児島にあります。
・旧集成館(反射炉跡、機械工場、旧鹿児島紡績所技師館など)
・寺山炭窯跡
・関吉の疎水溝
です。
では今回の世界文化遺産の鹿児島の3資産のお勉強と行き方について!
まずは…
その①旧集成館
仙厳園を含むあの辺り一帯(仙厳園から異人館の辺りくらいまでかなり広範囲である)が世界遺産で、その一帯を総称して「旧集成館」という。ただし、建物が世界遺産というわけではなく、地下に遺構や遺物が眠っているという事で一帯(敷地)が世界遺産。仙厳園内で見学できる反射炉跡などは地表に出ているというだけ。建物として世界遺産になっているのは旧集成館機械工場(現尚古集成館)と異人館のみ。
そもそも集成館事業とは…島津斉彬は産業や軍備の近代化が必要と考え、その具体策として集成館事業は計画されたもので、鉄やガラス、陶器などの製造、そして艦船、大砲などの武器製造、蒸気機関、写真などの技術開発など幅広く研究や建設を試みた。集成館事業はまさに日本の産業革命のさきがけなのです。
仙厳園やその周辺の広さはかなりのもので、全てを巡るには時間に余裕を持って行くことをオススメしますし、じっくり見たい方は最低でも2時間はあった方がいいと思います。旧集成館について磯地区周辺(仙厳園内以外)を案内してくれるボランティアガイドさんもいるのでそれで案内してもらうと分かりやすいでしょう。
【旧集成館への行き方】
仙厳園が鹿児島を代表する観光地をいうこともあり、今回の世界遺産の中ではとにかく一番行きやすい!このブログでも紹介したカゴシマシティビューなどのバスがたくさん出ているので交通の便は非常に良いです。鹿児島中央駅から大体30分くらいです。もちろん車でも行けますが駐車代(乗用車¥300)が必要です。ちなみにバイクや自転車などの二輪車は駐輪代¥100です。
その②寺山炭窯跡
第28代当主島津斉彬が1850年代に設けた炭窯の跡。3基あったうちの1基が残っています。集成館では大砲や砲弾の鋳造、ガラス製造などを行っていて、原材料となる鉄やガラスの溶融には1500℃に達する高温が必要でした。石炭を産しない薩摩藩では火力を木炭に頼っており、ここ寺山にはカシノキやシイノキなど木炭の原料となる森林資源が豊富にあったそうです。ここで焼かれた木炭は白炭と呼ばれ高温を発して強い火力となる上質なもの(黒炭より白炭の方が高温らしい)。
この石窯跡は世界遺産にならなければ知られることはなかったであろうくらいのローカルな場所にあります。でも、山の中に突如現れるこの石窯跡はとても力強く、そして神秘的で、晴れの日も雨の日も風の日も、ずっとここで歴史を刻み続けていたのかなと思うととても感慨深くなりました。結構感動あります。
【寺山炭窯跡への行き方】
今は交通の便がここ用に整っているわけではないので車かタクシーを利用するのが良いと思います(旅行者はレンタカーという手もありますが結構ローカルな所にあるのでちょっとどうかと…)。
まず鹿児島市の吉野町にある寺山ふれあいキャンプ場(公園)へ向かいます(途中に看板がいくつかあります)。そこに駐車場があるので(無料)車を停め、遊歩道へ。遊歩道も分かりやすいです。遊歩道を歩く事およそ10分、寺山炭窯跡に到着です。他にもルートがあるようですがこの行き方が一番確実で一般的だと思います。鹿児島中央駅から車で40分くらいです。
ちなみに公共交通機関を利用する場合は、鹿児島中央駅から南国交通のバス(宮之浦団地線)で「三州原学園前」というバス停まで行き、徒歩20分程だそうです。ただ、便数も少ないようでバスを利用する場合はちゃんと調べて行った方が良さそうです。
その③関吉の疎水溝
集成館の工場群で使用された大型動力は水車でした。磯地区では元々吉野台地を流れる棈木川の水が引かれ、島津家の別邸の生活用水に利用されていました。これを集成館の工業用水用に再整備。川の水を一度せき止め、一定量に達したら取水し、水路に取り込んでいました。その水路は集成館まで達し、集成館の水車を回すなど大きなエネルギーとなったのです。
この関吉の疎水溝は田んぼや畑があるなど自然が豊かでローカルな場所にあります。とても涼しく、夏は避暑地になるような所です。水量は結構豊富で、雨が降ると特にそうです。そしてその疎水溝の水は今もゆっくりと流れ続いています。現在は旧集成館までの疎水溝は途中で停められていますが仙厳園内に当時、水がここまで来ていたことが分かる跡が残っています。そこはまだ整備されていない山中にあるので安全性などを考えて一般公開はされていません。でも、どうしても、ちょっとだけでも見たいという方は…仙厳園の庭園と尚古集成館の間にある鶴嶺神社からかろうじて少しだけ見る事が出来ます。
【関吉の疎水溝への行き方】
寺山炭窯跡に比べたら行きやすいです。その理由は関吉の疎水溝の最寄りのバス停に停まるバスの本数が多いからです。鹿児島中央駅から南国交通バスの伊敷団地、緑ヶ丘団地行きなどに乗って、「下田」バス停で降りればOKです。自家用車など自分で行く場合はまず下田を目指して下さい。周りが田んぼや畑ばかりの所にあるので特に目印はありませんが近くなると看板があるので分かると思います。唯一目印を言うならば「稲音館(とうおんかん)」というカフェでしょうか。
鹿児島中央駅から車で大体30分くらいです。駐車場は稲音館の駐車場と疎水溝の近くの川横に空き地があり、ここがとりあえずの駐車場みたいになっているのでそこに停められます。
最後に…
《ふるさとのプチ情報》
・ボランティアガイドさんがいます!
土日祝はボランティアガイドさんが常駐しています。ガイドさんの説明を聞くのと聞かないのとでは全然違うと思うので、なるべくガイドさんがいる時に行く事をお薦めします。ガイドさんの常駐時間は午前9時半~午後3時半頃までだそうです。
ちなみに…近いうち3カ所を一度に案内してくれるガイドツアーが始まると思います!実は私もそれにちょっと関わっています!
・服装
寺山に関してなのですが長ズボンと長袖でいった方がいいかと思います。私は短パンに半袖にサンダルという超軽装で行ったのですがブヨの被害に遭い、大変でした(雨が降ったという事もありますが…)。靴もスニーカーが良いにこしたことはありません。滑りやすい所もあるのでビーチサンダルなどは避けた方がいいと思います。
一見、この3カ所は少し離れているし、関係なさそうに見えますが実はちゃんと繋がりがあったんですね~。
この夏休み、自由研究の題材にしている子供たちも多い事と聞きました。このブログも何かしら役に立ったら嬉しいと思っています。
以上、明治日本の産業革命遺産鹿児島版のお話でした!
※2015年8月現在の情報